• 防災社会デザイン研究会

大木研とCOVID-19(〜7月上旬の対応)

最終更新: 2020年7月14日


こんにちは.珍しく大木がブログを書いています.

新型コロナウイルス感染症について,研究室の学生達に私からどのような情報を送っていたか,これまでの対応をまとめておこうかなと思って綴り始めました.2月下旬から今日7月6日までの対応の時系列です.


1月31日

  • 「新型コロナウイルスは想像している以上にパンデミックだというのが私の考え」と研究会LINEに送信.

  • 学生達から「アルコール消毒ジェル持ち歩いています」「DMAT出動要請のニュースありました」などのリアクション.

2月23日

  • 3月11-13日に予定していた岩手・宮城への巡検(特別研究プロジェクト)の中止を学生達に連絡.以下,引用:

私が中止の判断で重んじたことは,
1.学生を感染させた場合の本人とご家族への影響.
2.東北で蔓延してきたときに「関東から大学生が大勢バスで来た」という指摘があった場合の慶応への影響.
3.1と2が大木研の今後の防災のための情報発信への信頼に与える影響.
です.
  • 補足:今年度は企画も学生が担当して準備を進めてきてくれていました.学習機会と単位を失った学生達には酷な結論となりましたが,学生達は「大木研だからこそこの段階で中止の決断をしましょう」「単位のために参加してる人はいません」などの意見が出てきました.やっぱり命に向き合う研究をしている学生達だな,と感心しました.

3月14日

  • 東日本大震災の日が終わるのを待って,この日から新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報をより多く連絡.まずは「もし感染したら..」の不安を大きくしないことが優先事項と思い,こちらの情報から:

【新型コロナウィルスについて】
もし,自分が感染したら,とか,もし自分の家族が感染してたら,とか,あまり考えないと思うんだけど,防災と同じで考えるべきなんだよね,一度だけいいから.
で,その「もし」が起きた時に「どうしたらいいか」みたいなことがわかりやすくまとまっているサイトがあったのでご紹介しておきます.
高知県立大の災害看護のチームです.
https://www.gensaicare.com/vs-covid19?fbclid=IwAR1MluACdNYmktHYoKgHWo_jaij6J83MlbF3I4LqU7k1FkdjUChqFg2soMc

3月19日

  • 大学やキャンパスからの情報が不足していると感じたため,「COVID-19と大学に関して,大学から発信してほしかった/ほしい情報を何でもリストしてください」としてLINEにノートを作成.

3月20日

3月22日

  • あるお医者さんのブログ記事を紹介.

ここに投げるにはわたし的な検証不足かもしれませんが、私の中でのモヤモヤに手が届いた記事でした。そのモヤモヤというのは、『自分が感染したとして普通のインフルよりちょっとつらい程度でしょ』という人に、いやその通りなんだけどそうじゃないんだ大事なところは、というのをうまく説明できないことでした。

「新型コロナウイルスはミクロでみるのではなく、マクロの目でみなくては」「こいつらは個じゃなくて群で襲いかかってきた時、真にその凶悪さを発揮するのである。」 
https://blog.tinect.jp/?p=64213
  • 授業の開始は4/30だけど研究会はオンラインで4月からやりましょう,と呼びかけ.4/3から,参加できる人だけで研究会を開始することに.

3月28日

  • 研究会SlackにCOVID-19チャンネルを作成.

3月29日

  • 4年生とM2は例年このタイミングでLINEを退室するので,以下を連絡.

【臨時対応: つながっていましょう】

1.みんなとのつながり
例年だと卒業生がLINEから抜ける時期ですが,しばらくこのまま運営しましょう.もちろん,新しい子達を加えるので,その子達に配慮した,大木研らしいグループLINEを続けていきましょう.Slackも同様にします.

2.ご家族とのつながり
これは任意ですが,もし皆さんが嫌でなければ,私のLINE IDとメールアドレス,携帯番号をご家族にお伝えください.授業態度をご両親にこっそりお教えします.嘘です.(笑)なにかがあったかも,という時に連絡できる先があるといいと思うので.遠慮なくご連絡ください,とお伝え下さい.(電話は出られないことが多いですが..)さまざまな守秘義務は双方に対して厳守します.
LINE IDXXX
メールアドレス: XXX
携帯番号: XXX
  • 余談:このあと,お母様方からLINEもらってママ友LINEみたいになって私とママ達は楽しくなる.学生はヒヤヒヤする.(笑)

  • その後,他大学で大学生の感染者が出たので,以下をあらためてLINE.ここに晒すには語弊があることを書いているけれど,このブログの最後に書いたように,人一倍自粛しているうちの学生達がもし体調不良になった場合に,自責の念を抱いてほしくないというのが私の一貫した願いでした.

大学生のコロナ感染が出てきていますが、もう誰でもどこでも感染しうるからね。
仮に感染しても悪びれちゃダメですよ。一番つらいの自分なんだから、その上メンタルまで追い討ちかけたらダメですよ。
地震の時に被災して「震源近傍に住んでてごめんなさい!」とか思わないでしょ。ハザードは選べないんだから、悪びれる必要ありません。
そんなことより「感染したかもです」って連絡ちょうだいね。そのあとに、勘違いでした〜、とかになっても狼少年とか言うわけがありません。

4月上旬

  • ゆるやかにオンラインで研究会を開始.

  • 4/7 首都圏をはじめ一部地域に緊急事態宣言.

  • 4/9から毎日「体温/体調/今日のひとこと(みんなにさらしていい)/大木への相談(みんなにはさらされない)」をウェブフォームで送信.名前とひとことだけをスプレッドシートにして公開,だれでもコメントを記入できるようにして,日常のどうでもいい話をやりとりできるプラットフォームとして活用.(6月中旬からはSlackのチャンネルに移動し,今も継続)

4月中旬

  • ゼミでは『「防災小説」をCOVID-19で書くとしたら』という課題を出して,グループごとに3週間に渡って取り組む.

  • いくつかの研究プロジェクトを始動.関心を持ちそうな学生に声をかけてグループごとに開始.

  • 学生達はこの状況下で地震災害や水害が発生したらどうするかを考え,院生を中心に研究室のTwitterを開設,「3密の避難所で役立つ7つの備え」を発信.

  • 大木が体調不良になったと学生達に連絡.この頃,気候不安定もあって小康状態の人多い.

4月下旬

  • 今学期の新期生が研究会に参加.ようこそ,大木研へ!

  • COVID-19の感染者数や死者数のデータを使って,エクセルの使い方と対数グラフの見方などを簡単にレクチャー.また,各国の状況をどのサイトから見られるか,今後の傾向などを私がどのように見ているかなどを紹介(主にFinancial Timesのウェブサイト).画面共有はこういうときにかなり便利.

  • 春学期の授業が始まる.初のオンライン授業,チャットの活用など本当に学生達に助けられる.履修者が例年の4倍くらいになったこともあってか,なんとなく大木研の大木研らしさ(?)みたいなものが授業で培われた気もしている.

5月

  • ゼミではグループごとに課題を出して,3週間後に発表会.1セメ(新期生)との混合チームで活動.

  • 輪読の開始.『質的研究のための理論入門』ごめん,難しい本を選んでしまってごめんなさい...

  • 先生班の開始.地球科学・統計・社会調査・作文技術・救急救命・大木研教材など,今後の研究に必要なスキルを担当のグループが先生役となって教える時間のこと.先生班が一番たいへんだけど,「先生」を担当したテーマには強くなる.1セメとのつながりは輪読と先生班の活動で維持・展開していく.

  • 外部のオンライン講話などに研究会で積極的に参加.Slackにチャンネルを作ってリアルタイムで意見交換.楽しい.

  • ひとことフォームでは,筋トレ・料理・映画鑑賞など様々なブームが訪れたり去ったりしている.

5月29日

  • ゼミの最後に,自粛解除後も行動を律している学生達に口頭で伝えたことをあらためてSlackに投稿:

■ 感染者が名乗り出られる文化・体調不良時に遠慮なく休養が取れる文化の醸成

新型コロナウイルスについては,不顕性感染者(自覚症状がないが感染している人)も感染力を持っていること,自覚症状がある場合も発症の2日前から感染力を持っていること,がわかっています.
したがって,自粛解除で人との接触が増える状況下において,このような特徴のウイルスの感染者をゼロにすることは極めて困難であることが言えます.
この先,感染者が出ても責めない文化や,体調が優れないときは遠慮なく休める文化を継続していきましょう.

■ 感染が疑われる場合/家族に感染疑いが出た場合/発熱が続く場合の対応

37.5度以上の発熱を伴う風邪の症状がある場合は自宅待機を継続し,下記フォームにて慶應義塾大学保健管理センターにご報告ください.
https://form-m.keio.ac.jp/hcc/report-coronavirus.html

こんな特徴のウイルスだから感染する可能性は否定できない.だから大木研としては,感染しても報告や相談をしやすい雰囲気を作っておくことが大事という認識だよ.
あとは濃厚接触者の新しい定義をよく抑えて,こまめな手洗い・共有物の消毒をしていきましょう.
https://note.stopcovid19.jp/n/n7bef9991fb56?gs=39ee8d72ec5b


6月

  • 引き続き,輪読と先生班の継続.

  • 静大教育学部藤井研究室とのコラボ企画なども実施.

  • ひとことフォームをSlackのひとことチャンネルに移動.学生曰く「休み時間に生協に行くときに話していたようなどうでもいいことを話せる場所」とのこと.誰が投稿してもよくて,誰が返信してもいい,誰が投稿しても必ず大木は返信する,という運用.

6月18日

  • COVID-19に関する対処についてのここまでの知見のまとめを送信.今となってみると甘いところもあるが,まあ,6/18時点のこととして:

COVID-19に関する対処についての知見の根拠が概ねまとまってきたと感じています.
これ↓
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/10/2009637117
と,これ↓
https://www.wsj.com/articles/how-exactly-do-you-catch-covid-19-there-is-a-growing-consensus-11592317650
が決定打かな.

上のPNAS論文(メチャクチャ掲載されるの難しい論文です)は,マスク+ロックダウンのNY州とロックダウンのみの他州とを比較して,マスクの有効性を報告しています.
下のWall Street Journalは,これも含めたまとめを書いていて,「プラスチックや金属の表面からの感染はほとんどない」「換気のいい場所や屋外からの感染もほとんどない」「濃厚接触以外からの感染もほとんどない」みたいな感じです(斜め読みだけど,たぶん).

こう考えると,アジア諸国が欧米よりもうまく対応できていることも説明できる(マスク効果)し,あのデモでも感染爆発してないことも説明できます.家庭内での感染も私が思っていたよりもずっと低くて,ちゃんと対応できてれば家庭内ですら感染は抑止できそうです.(まあすごい無理なのもあると思うけど)

極力感染をさけるための対策としては,日本の専門家委員会が言ってきたことはかなり的を得ていて,4/22だったかに新たに定義された濃厚接触をひたすら避けるように暮らすことでしょう.
https://note.stopcovid19.jp/n/n7bef9991fb56

逆に言うと,「マスクを外す&唾が飛ぶ」の行為はリスクが高く,歌系行為(カラオケとか合唱とか)や懇親会・宴会は決定的にダメだと思います.(大人の場合)
これらをするための条件をものすごく面倒くさくして,結果的に抑制できる,という戦略でいくのがいいのかもしれません.

とは言え,自力で避けられないものもあると思います.バイト先が換気できない環境とか,バイトのお客さんがどんどん近寄ってきてめちゃくちゃ話しかけてくるとか,マスクしてない客に文句言えないとか.

そういう不安に思ったことあったら,書き留めておいてね.今日のひとことチャンネルに書いてもらうの大歓迎です.私にLINEしてもらうのでも構いません.その日からの体温記録もつけておくといいです.ほとんどの人はおよそ5-7日で発症します.

それから,何度でもお伝えしますが,感染したかも?と思っても罪悪感を抱かないように.たとえ飲み会に行ってたとしても,罪悪感を抱いて口をつぐむ必要はありません.悪いのはウイルスだし,まあウイルスも生きていくのに必死なわけで,その意味では地震と災害みたいな関係だね.(しかし今回のウイルスが取った戦略は賢いなあ!)

あくまでも感染症に関しては素人の大木による現時点でのまとめです.
恐れすぎず,対策を取りながら,心身健康に過ごしていきましょう.
地震対策とだんだん似てきたね.

7月上旬

  • 輪読と先生班の継続.

  • ひとことフォームがきっかけで,体育会の学生による毎朝の体幹トレーニング&ストレッチ講座が始まる.参加自由,カメラオン・オフ自由,ご家族もご一緒にどうぞ.(Slackにチャンネルできる)


と,こんな感じです.

だいぶはしょった感じもありますが,私が意識していたのは以下です.

  • 初期の頃は,情報のソースは可能な限り私の方で精査して,確度の高そうなものを学生に送る.

  • COVID-19については,わかっている対処方法を伝える.

  • 学生が体調の不安を言えるように,とにかく意識して繰り返し伝達.私自身の体調不良は積極的に学生に言う.

  • 体調のことでも授業のことでもなんでも相談していいよ,というのを何度も発信.(まあ,オンラインやら何やらで私が学生に教えてもらうことのほうが多い.苦笑)

  • コミュニケーションを意識して増やす.


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慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス 大木聖子研究室